【無料】 保険会社の破綻はどのようにして起こるか<音声配信あり>
今日は、「保険会社の破綻はどのようにして起こるか」というテーマで、保険会社の破綻の歴史をみたうえで、皆さま注意喚起情報に説明しているであろう、「保険会社が破綻したときの説明」についてもみていきたいと思います。
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一時払いなどの提案では重要になる
では、本題です。このFPナレッジでも頻繁に取り上げている「一時払い商品」ですが、私たちの提案ラインナップを考えると「一時払い商品」というのは大きな意味を持つようになりました。で、一時払い商品ではその名の通り、大きな資金をお預けいただくわけですから、お客様としても、「保険会社の信用性」は気になる部分だと思います。
つい先日も、(一時払いを提案しているお客様で)「ここ最近での、保険会社の破綻事例ってどういうものですか?」という質問を受けました。このときに、即答できるといいですよね。
直近の破綻事例では、2008年に起きた「大和生命」です。リーマンショックで日本で唯一破綻した会社で、責任準備金は90%に削減されてジブラルタ生命に引き継がれました。過去に起きた、その他の保険会社の破綻事例もみていきましょう。
保険会社の破綻が大きく取り上げられたのは、1997年~2001年です。この時代は隣接業界では、三洋証券、山一証券、北海道拓殖銀行など主要な金融機関が経営破綻したこともあり、保険会社にも解約の動きが一段と加速した背景もありますが、そもそも、当時、保険会社はどういう会社があり、どのように破綻したのでしょうか。これは、実は金融庁にデータがあります。ここは皆様押さえておくといいと思います。
金融庁:生命保険会社の破綻処理の概要
https://www.fsa.go.jp/ordinary/hoken_hogo/03.pdf

過去は「資産と負債のバランスが崩れること」=ALMリスクで起きている
この「金融庁:生命保険会社の破綻処理の概要」は皆様保存をすることをおすすめします。こうした会社が(もちろん時代背景もありますが)どうなって、どのようにして破綻したかを学んでおくことは、特に若手では大事だと思いますし、お客様に安心できる情報を提供できることにもつながるのではないかと思います。生命保険会社の破綻リスクとして重要と考えられているのが、以下です。
・保険引受リスク
・市場リスク・信用リスク
・ALMリスク(特に金利リスク)
ALMリスクについて、イメージがわかないという方も多いかもです。ALMリスクは、Asset Liability Managementの略で「資産負債の総合管理リスク」のことで、「資産負債対応リスク」とも呼ばれます。一言でいうと、B/Sの、資産と負債のバランスが崩れることで発生するリスクです。ここが金利が変動してしまうことでおきるのです。
なので、上記に挙げたような過去の破綻事例をみてみると、予想外の保険金支払いが発生したというものではなく、資産運用の失敗(市場リスク・信用リスク)や不良債権問題(信用リスク)、多額の逆ザヤ発生(ALMリスク)など、金融市場の変動の影響で破綻が起きたといえると思います。
今では信じられないが、保険料をローンで支払っていた
この中でも、「日産生命」の破綻事例は、知っておいてもいいと思います。日産生命を破綻に追い込んだ最大の経営行動は、1980年代後半から金融機関との連携で予定利率の高い個人年金を集め過ぎたことです。どういうことが行われたかなんですが、1986年に一時払い保険料(全期前納保険料)をなんと、「銀行ローン」で支払うシステムを開発し、個人年金保険に導入した「年金保険ローン」を銀行が積極的に取り扱って大ヒットとなったわけです。
今からだと信じられないと思いますが、「保険料をローンで支払う」という時代があって、これを銀行が積極的に取り扱っていたわけですね(この個人年金の予定利率は当然ですが、めちゃくちゃ高いからできる方法)。そして、金利が下がり逆ザヤとなって破綻したという事例です。
当時、破綻した保険会社は中堅生保といわれる枠組みで、当時から(今もですが)大手生保と呼ばれる生保会社は破綻には至らなかったわけですが、同じく、金利リスク(逆ザヤ)には大きく悩まされることになったという歴史は皆さまご承知かと思います。
当時、もちろんバブル崩壊などの外部要因の影響はありましたが、保険会社のビジネスモデル、あと個人的には大きな要因であったと思いますが、「保険会社の組織の体質」といった内部要因も、重要な意味を持っていたと思います。
保険会社が破綻したときの説明はしっかりと・・・
ここまでが歴史であり、知識として知っておいて損はないと思います。重要なことはここからで、私たちはお客様とご契約の際に、どの保険種類であっても必ず「注意喚起情報」を読み合わせすると思います。この注意喚起情報の中に、「保険会社が破綻した場合等 保険会社の業務または財産の状況の変化、または経営破綻により、保険金額等が削減されることがあります。」という部分がありますね。この説明です。
そもそも生命保険会社が破綻すると、加入している保険の契約を継続するために、一定の範囲で保護が図られていくわけですが、どういう措置が取られるかは、「救済保険会社の有無」によって変わってきますよね。
・救済保険会社が現れた場合・・・破綻保険会社の保険契約は、「救済保険会社」による保険契約の移転、合併、株式取得により、破綻後も継続される
・救済保険会社が現れなかった場合・・・破綻保険会社の保険契約は、「生命保険契約者保護機構」が設立する子会社の「承継保険会社」、または同機構自らが引き受けることにより、破綻後も継続される
責任準備金の90%までを補償する
以外に知られていないのが、保護機構は、この救済保険会社、または、承継保険会社に対して資金援助をして契約者保護をしていくという部分です。なので、生命保険会社破綻後も契約を継続するわけですが、責任準備金が削減されることがあります。で、通常契約の場合と高予定利率契約の場合で、異なります。
・通常の契約の場合:責任準備金の90%までを補償する
・高予定利率契約の場合:高予定利率契約とは、破綻時に過去5年間で常に予定利率が基準利率(今は3%です)を超えていた契約を指します。当該契約については、責任準備金等の補償限度が以下のとおりとなります。
高予定利率契約の補償率=90%-{(過去5年間における各年の予定利率-基準利率)の総和÷2}
です。
ドル建て一時払い商品の利率も90%を下回る可能性があるかも
ここの90%までを補償(保険金や年金額などが90%補償されるものではない)をしっかりご説明する必要があることと、高予定利率契約(昔のお宝保険など)は、補償される額が90%を下回るということですね。なので、昨今のドル建て一時払い商品などの利率も補償される額が90%を下回る可能性があるかもしれません。
あと、保険会社の破綻による契約移転の場合、責任準備金の削減のほかに、予定利率が引き下げられることがあります。なので、破綻による契約移転は、保障額や解約返戻金、満期金などが以前の契約の内容よりも下回ることがあって、こうした部分は、生命保険契約者保護機構のサイトにあるパンフレットでも確認できるので、こちらもみておくといいと思います。
https://www.seihohogo.jp/pdf/pamphlet.pdf
今日は以上です。
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