【無料】 非上場株の相続評価で新ルール案 ますます重要になる募集人の役割<音声配信あり>
今日は、昨日国税庁から「取引相場のない株式の評価に関する有識者会議」の最新資料が公表されました。この中では、「非上場株の相続評価で新ルール案(まだ「案」という点に注意)」が示されており、ここが非常に注目されています。そして、これは私たち募集人で、特に法人マーケットで活動される方は、必ず知っておきたい内容です。
この有識者会議を経て、2027年度の税制改正大綱(今年の年末に出てくるもの)に反映し、2028年1月以降の相続から適用を目指しています。もし、今回議論されているような内容で決まるとなると、影響が大きいですから、いち早く法人社長へ情報を提供するという意味でもしっかり理解してほしいと思います。なお、非上場株の算定方法を抜本的に見直せば現行ルールを定めた1964年以来初めてです。
今回のお話はコラムのようなものですから皆様がお読みいただけます。
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では、本題です。まず、そもそも、どうして「非上場の株式の評価の方法を変更する必要があるのか」という部分から解説しましょう。
相続税は、亡くなった人が遺した財産の「時価」に対してかかります。現金なら額面、上場株なら市場価格で決まるわけです。ところが、日本の会社の大半を占める非上場(同族)会社の株式には市場価格というものが存在しません。で、この日本で大部分を占める中小企業ですが、このオーナー社長にとって、自社株は財産の大半を占めています(現金もあるが、財産割合として自社株が多くなる)。で、中小企業においては、「自社の株式をいくらと見るか」が、後継者が払う相続税額を決めてしまうわけで、ここに事業承継の難しさがありました。
そこで国税庁は財産評価基本通達というルールブックで評価方法を定めています。制定は1964年(昭和39年)。今回の見直しが実現すれば、60年以上ぶりの抜本改正ということになります。
以下は、国税庁が公表されている「有識者資料」です。まだ案ですが、この内容はみておきたいものです。
https://www.nta.go.jp/about/council/nai-hyoka/20260820/pdf/05shiryo_kabukaigi.pdf
まだまだ、そもそもの解説をします。現行の財産評価基本通達は、会社の規模(従業員数・総資産・売上高)で区分し、方式を使い分けます。
大会社は「類似業種比準方式」といい、同業の上場企業の株価を基準に、配当・利益・純資産の3要素で比較します。小会社は「純資産価額方式」といい、資産から負債を引く。中会社はその併用です。加えて、経営に関与しない少数株主には「配当還元方式」という特例があります。
難しいかもですが、簡単にまとめると以下のような感じです。
大規模 → 類似の上場企業の株価を参考にする方式
中規模 → 2つの方式を併用(大規模用と小規模用のブレンド)
小規模 → 資産から負債を引いて評価する方式(純資産価額方式)
節税の温床のひとつが、この「区分」でした。従業員数・総資産・売上高で規模区分が決まるため、区分をまたぐように会社を分割したり、逆に併合したりして、自社に有利な方式が適用されるよう調整する余地があったわけです。今回提示された新ルールでは、規模を問わず同じ計算式になるので、この規模を操作する節税ができなくなるということです。
で、こうした、いわゆる「節税」ですが、訴訟にもなり、2024年11月には会計検査院が、評価の公平性が確保されているとは言い難いとして事実上の見直しを求めていて、これが直接の引き金となって国税庁は2026年4月に会計学・会社法の専門家や関係団体による有識者会議を設けて議論を続けており、その内容が公表されたということです。
今日の有識者会議に示される案の骨格はシンプルです。ポイントは以下です。
・上場株を参考にする方式は廃止し、算定方法を一本化する
・直前期末の簿価純資産(帳簿上の純資産)を土台に、今後5年間で見込まれる収益力を上乗せし、一定の係数を掛けて評価額を出す
・5年間の利益は過去5年の平均などから計算し、赤字(マイナス)のケースも織り込む。企業側は過去の決算書や法人税の申告書をもとに自分で計算できる
です。新方式の呼称は「残余利益方式」というそうです。これは初めて聞くものです。以下が計算式のイメージです。
(簿価純資産 + 残余利益 × 5年分)× 一定の係数
これを見ると、「簿価純資産」はわかりますね。残余利益とは何でしょう。「残余利益」とは、その会社が通常期待される利益を上回る金額のことです。例えば、純資産10億円の会社に期待される標準的な利益が仮に5,000万円だとします。ただ、ある法人では、純資産10億円で、利益が3億円となると、残余利益は、超過分の2.5億円です。この5年分の現在価値が簿価純資産に上乗せされます。逆に言えば、期待収益率に届かない会社や赤字会社は、簿価純資産より相続の評価額が下がるということです。
これ、よく考えてみましょう。これまで(私も法人担当していたのでわかりますが)、法人の「必要保障額」を算出するとなると、
・借入金
・運転資金
・自社株評価
・相続納税資金
などを考えていくわけですが、このうち、「自社株評価」を算出するのが難しかったわけです。ただ、もし今回の新ルールとなると、計算に必要なのは、直前期末の貸借対照表と過去数年分の損益計算書だけです。計算自体、かなり楽になるという印象です。
で、今回の新ルールは要するに、「持っているもの」+「稼ぐ力」で自社株評価を決める、ということですから同じ業種の上場企業の株価という外部の数字に頼らないので、意図的に安く見せることが難しくなります。実は、この部分が非常に重要で、「租税回避スキーム(評価額圧縮スキーム)への対応」を4つのケースを示して例示してあります。
1:会社規模の操作 → 今回の新ルールで、規模によらず単一方式とすることで対応
2:利益等の恣意的な操作 → 今回の国税庁の資料では、圧縮手法として「オペレーティングリース・役員報酬・役員退職金等」を挙げて、見直しの方向性として「非経常的な損益を除外した企業の正常利益で株式を評価する」としています。つまり、一時的に大きな損金を作って利益を凹ませ、株価を下げてから贈与・相続する、という手法が効かなくなります。
3:グループ法人税制の活用 → 完全支配関係にあるグループは全体として評価し、子会社に資産を落として親会社株価を下げる手法に対応
4:株主構成の操作による配当還元方式の濫用 → 無議決権株式を使った世代間譲渡、一時的な第三者への株式譲渡などに対応。なお、株主の構成を操作する手法も見直されます。株の持ち方を工夫すると評価額を大幅に下げられる「配当還元方式」という特例があり、資料では最大で98%も圧縮した事例があったと書かれています。この特例は残りますが、使える人の範囲が絞られるとのことです。
今日はここからが大事なことです。今回の自社株の評価の新ルール案への改正が、どうして私たち募集人にとって重要なのかという点です。
まず、日本において中小企業の割合は99%と言われるくらい、ほぼ中小企業と言われていて、このうち利益計上法人は35%くらいと言われていますが、こうした中小企業や中小企業オーナーに対して、リスクマネジメントのアドバイスをしているのは、私たち保険募集人です。税理士先生もありますが、こうした新ルールに対して、税理士は「対応する道具」は持ち合わせいません。私たち保険募集人は、「道具=武器」をもっています。これが、生命保険です。
今回の新ルールは、全般的に、「株価を下げてから渡す」というやり方が効きにくくするということです。日経の試算が出ていましたが、今回のルールが適用されていくと、大企業でも零細でもない中堅企業が増税(相続税)となる可能性があります。特に建設・製造・卸のように、重機や工場、そして在庫で資産が膨らむ業種は注意が必要とのことでした。
私たちが取り扱う特に、一時払い商品でもそうですが、大きく保障取得できる商品は多くラインナップしています。これは平準払い(掛け捨て)でも同じことです。生命保険とは、「企業オーナーの死亡」という緊急事態に「キャッシュ」を用意できます。先に述べましたが、中小企業のオーナーは(現金も持っていますが)割合でいうと、財産はほぼ自社株ということになります。相続人(後継者)はキャッシュを用意できません。保険ではこれが可能になるということです。
今回の新ルールですが、まだ決まりではありませんし、あくまで「案」ですが、「こういう議論が進んでいます」というお話はできると思います。ぜひ、こうした情報も届けていきたいですね。
今日は簡単に。以上です。
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