保険募集人の「職業倫理」はどうすれば育つのか<音声配信あり>
今日は、「保険募集人の職業倫理はどうすれば育つのか」というお話をしてみましょう。もちろん、今日のお話は、有料会員の方、無料の方、全員に配信します。昨日の「変額保険」でもなく、RSUの話でもなく、無料で「職業倫理」のお話をメルマガ読者7000名全員に配信します。
昨日、FPナレッジは有料会員限定で、「どうして我々は、「変額保険」を取り扱うのか<音声配信あり>
」という内容をお届けしました。非常にご好評をいただいたようで、たくさんうれしいお声が届いたのですが、同時に、「有料会員じゃないから記事をスクショして送ってほしい」という募集人がいるという意見が私のところに寄せられ、他の方でも、「私(有料会員の方)も言われたことがある、結構そういう人がいる」というお話がありました。
最初は「怒り」という感情でした。その自分にだけにベクトルを向けた言動は、きっとお客様の提案の端々に出ていて、だから売れないってことになぜ気が付かないのかと。
今は冷静になり広義の意味で、「保険募集人の職業倫理はどうすれば育つか」という内容で、私なりに真剣に届けます。どうぞ、最後まで存分にお読みください。私は個人を攻撃することはしたくありません。スクショの例はありますが、今日はみんなで「職業倫理」について考えましょう。
音声配信でお聞きになりたい方はこちら
(再生プレイヤーの右端3点リーダークリックすると倍速で聴けます)
では、本題です。2日前、日経新聞が「保険代理店、上位100社に「上乗せ規制」 不祥事再発防止へ重点監視」という記事で速報を出しています。ご覧になられた方も多いでしょう。
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB11B480R11C25A2000000
(※民間記事は普段は掲載しませんが、今日はあえて掲載します)
職業倫理とは、専門職における高い行動規範
上記は読めない方も多いと思いますから簡単に触れておきますと、保険代理店への監督強化策の詳細が固まったというもので、その速報記事です。金融庁は年間20億円以上の手数料収入がある大規模代理店に法令順守責任者の設置義務といった、より厳しい上乗せ規制を課す方針です。代理店上位100社が対象になる見通しで、対象になる上位100社程度は、2026年6月ごろの施行に向けて体制強化が必要になる見通しです。記事の締めくくりは、こうあります。
「当局の旗振りだけでなく、代理店自身の改革姿勢が欠かせない。」
私はこうした仕事をしているので、様々な募集人の方、代理店の経営陣(幹部)、そして保険会社の経営層の方と意見交換する機会をいただきます。で、3か月前の改正監督指針から今回の体制整備構築に関して代理店経営陣の方や事務方におかれては非常に危機意識高くいらっしゃるのに反して、保険募集人は、「どこ吹く風」という感じの方が多い印象です。
日経の指摘のとおり、確かに代理店自身に改革姿勢が必要です。ただ代理店改革には代理店で働く人=募集人、一人一人の意識改革が不可欠であって、私はそれこそ今日のタイトル、私たちの「職業倫理」に答えがあると思っています。私たち保険募集人の職業倫理を高めることができれば解決できる問題は複数あると思います。今一度、私たちの職業倫理について考えてみませんか。
職業倫理とは特定の職業や業界に求められる道徳的基準や行動規範を指します。これは一般的に言われていることで、私がなりに表現すると、「プロフェッショナルとして、それは正しいのかを自分に問うこと」だと思っています。どんな職種にも潜在的にあると思いますが、特に高い職業倫理が求められるのは、医師など医療従事者とも言われますが、弁護士、公認会計士などの士業、コンサルタント、ファインシャルプランナーなども職業倫理が不可欠と言われています。
事実、FP資格では、第1章に「FPと職業倫理・関連法規」がありますし、資格更新においても必須の科目とされていることからも最重要視されていることがわかります。FPの職業倫理は、「顧客利益の優先」「守秘義務の遵守」「顧客に対する説明義務(アカウンタビリティ)」「コンプライアンスの徹底」などあります。
先に挙げたように、2026年以降は私たち保険業界は大きく変わっていくものと考えます。一言で言うと「規制が厳しくなる」のでしょうが、大事なことは私たち募集人が高い職業倫理を持つことです。
人生という不可逆なものにアドバイスをしているという意識
どうして、私たち保険募集人は高い職業倫理を持つ必要があるのでしょうか。私たちは、保障・補償を提供する過程で、顧客のリスクマネジメントに関する意思決定を支援しています。そのアドバイスによる商品選択は、顧客の人生設計そのものに長期間影響を及ぼすことになり、これは後から簡単にやり直すことができません。だからこそ(不可逆だからこそ)保険募集人には高い職業倫理が求められると考えています。
私たちは、顧客へ保障・補償そして、資産形成・運用をという形で、将来の「あんしん」を提供すると言っています。そのアドバイスは、もしかすると失敗となる可能性もあり、答え合わせは、10年、20年先の未来で行われます。その時点では顧客の人生を元にも戻すことはできない。こうした商品を扱っているという自覚が必要なのだと思います。
私たち保険業界って、「寄り添う」とか「伴走」とか、「保険金を届ける」とか、そういうの好きですよね。でも、よく考えてみますと、「寄り添う」って、長期的に取り消しのきかない顧客の人生に関与するという意味であり、本当は軽々しく使える言葉ではないのかもしれないです。そして、残念ながら、保険募集人においては高い職業倫理で業務に携わっている方が多いかというと、(医師などの業種比べても)明らかに少ないと思います。私自身も完璧ではありません。
では、どうすれば、この保険募集人の職業倫理を育てることができるのでしょうか。これは組織(代理店)として行う部分もあるかと思います。ただ、「倫理」ですから、外部から「どうする」と言われても変わることは少ないのかなとも思います。あくまで個人のレベルの意識改革、そして、判断の癖づけを作ることが大事だと思います。
アプローチはいくつかあると思っていて、私なりに倫理観を磨く方法を考えたので以下に列記してみます。
<自分の法律を作る>
⇒倫理観というのは、マニュアルなどでは身につかないと思います。大事なことは、心がけや、モラルみたいな部分ですから、自分を律する力を身に着けることではないでしょうか。つまり、「自分の法律を作る」ということです。自分が判断する基準ですね。よく言われるのは、「自分の親でも勧めるか」「自分が同じ立場だったら提案を受け入れるか」などですが、私が一番わかりやすいと思うのは、「いい商品で考えるのではなく、その商品がお客様の人生に本当に必要かで考える」ではないかと思います。こうした「自分の法律」を作ることです。
<10年後、感謝されるイメージが持てるかを問う>
⇒自分の提案で本当に大丈夫かと、反芻してみることではないでしょうか。そして、10年後、感謝されるかどうかを考えてみること。これを提案の度に癖づけること。こうしたことでも、高い倫理観は養えると思います。
<子どもに誇れるか、その一点で判断してみる>
⇒私は今日、これが一番言いたいことです。上記に「倫理観を高める方法」と書いてはいますが、「無理だよ…」と言われるのが関の山かもしれません。ただ、どうにかして、どうにかして倫理観を育てる方法はないものかと考えた。とにかく考えました。
で、一番近いと思ったのがこれで、子どもが見ていても、YESといえるかどうか。実際、経験があるのですが、お客さまの隣に、お客さまの娘さま、息子さまが同席しているときってありますよね。このときの提案というのは、背筋が伸びるものです。
つまり、私たち保険募集人が倫理観を高めるために、意識することとは、「常に、子どもたちが見ている」「彼ら彼女らに、恥ずべき言動・提案をしていないか」を考えればいいと思う。
最後に…
いかがでしょうか。いま12月17日午前2時くらいです…。自分でもこうして執筆して誰が喜んでくれるのか、誰に届くのか、いつも不安になりながら、頭を掻きむしって書いています。今日の内容は、言葉選びに非常にセンシティブになりましたし、過去一番、執筆が難しい内容だったかもしれません。
ただ、FPknowledge株式会社のミッションは、「保険募集人を後方から支援する。そして、お客様に貢献する。」です。募集人の皆さま自身、そしてお客様が良くなる未来を想像したいです。今日の内容が、全国で活動する、誰かに届けば本当にうれしいと思っています。
今日の内容を、私がここで執筆したところで何も変わるわけでもないし、(私のレベルで)別に業界を良くできるとか思っていません。ただね、ただせめて自分の息子というか、子どもたちに、堂々と「保険を売っている仕事だよ、すごいでしょ」って言いたいだけです。FPとかごまかすんじゃなくて、堂々と保険だよと。
今日は以上です。有料記事(他記事)のスクショも「使いまわし」もやめてくださいね!(笑)
いつもありがとうございます。
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