若手保険募集人の「当事者意識」はどう育てるか
今日は、「若手保険募集人の当事者意識はどう育てるか」というお話をしてみたいと思います。FPナレッジでは読者募集人の方のご質問・お悩みにお答えするコーナーがありますが、今日の内容は、「私・岡田自身の最近の悩み」というと近いかもしれません。保険会社や代理店に勤務される方で、マネジメントや教育を携わる方で、同じようなお悩みを抱えておられる方もいらっしゃるのではないでしょうか。今日は、私自身の悩みを私自身が言語化してみたというお話です。完全にコラムです…。
今回のお話は、完全にコラムなんで、有料会員さま無料会員さま皆さまがお読みいただけます。今回の内容は、無料会員の方も音声で聞くことができるようにしております。
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若手と話したときの「違和感」
では、本題です。今日のお話は、私が最近若手保険募集人と話している中で、「違和感」みたいなものが心の奥に引っかかる感じが残っていて、「この違和感なんだろう」とかずっと考えていたものです。で、私自身が、いつか言語化が必要だなと思ったこと。これが今日のテーマ「当事者意識」です。今日の話は、私自身の活動を通じて考えた、代理店における教育やマネジメントの「違和感の言語化」です。
最初に触れておきたいことがあります。私は今47歳で、保険募集人歴は17年です。私たちの業界では、17年でもまだまだ未熟、まだまだ若手と言われるくらい業界の大先輩がおられることも承知しております。ただ、周りの保険募集人の方では最近は私より若手、業界歴も浅い方も多く、私自身が、そうした若手が「どうすればもっと成長できるか」を考えた内容であって、決して私の周りの若手保険募集人に向けた叱責のようなものではありません。私自身が教育・育成のレベルを上げるための、言語化であることをご了解ください。
私は立場上、多くの保険募集人の方と交流があり、その中では最近は「若手(ここでは私より年齢が若い方と定義)」のほうが増えています。で、当然に若手が成長していくことは、本当に見ていて喜ばしいことですが、悩みを抱えて苦しんでいる方もいる。その悩みを聞き、分解していくと、終着駅はほぼ「見込み客」という話であり、「こういうお客様に、こういう提案ができずに悩んでいる」「既契約にどういう案内を出すか」といった類の相談は、あまりない。これは私がここで改めて申し上げるまでもない事実であろうし、代理店サイドも当然に理解している。
で、最近では代理店経営で重要な要素となっているのが、「案件創設」。つまり、会社側として案件がある・ないという要素で、これを「共同募集」とか「リーズ案件」などと言って、保険募集人としても、この「案件の有無」は非常に重要視している。
わかる。わかるんだけど、私の若手保険募集人と話す際の「違和感の言語化」はこれだと思っています。つまりは、今日の話は「共同募集の弊害」なのかもしれなくて、「案件があるとできるが、ないとできない」(実際に表現される言葉は違うが、ストレートに表現をすると、これ)というもので、見込み客を探すのが難しいから、案件に頼るという構造がある中で、そもそも、見込み客を「創造すること(自分の頭で考えること)」から逃げてしまっている。私が、これからの若手保険募集人育成において、最も重要だと考えていること、それが、「自分の頭で考えることに当事者意識を取り戻す」ことです。
自分の頭で考えてみることで当事者意識を取り戻す
誤解のないように触れておきますと、「見込み客創設を当事者意識ともってやれ!」と言ってしまうと、これは(若手にとっては)心が折れるというか、難しい。見込み客創設は、保険募集人が考える、まさに「終着駅」。これを全員が毎日考えている至上命題ですから、最終到達点に当事者意識を持て!と言われても、「私には無理」となってしまう。当事者意識を取り戻すためには、もっと身近なことから変革することが大事だと考えます。つまり、若手に伝えたいことは、「見込み客創設ではなく、まずは自分の頭で考えてみることで当事者意識を取り戻す」ことが大事ということです。
そもそも、当事者意識とは、何でしょうか。責任を持つとか様々な表現がされると思いますが、私は「自分で考えて、自分で意思決定して行動すること。その行動に責任を持つこと」だと思っていて、もっと広義に表現してみると、「自分の人生を、生きること」だと思う。誰かの人生ではなく、自分の人生を生きる。自分が影響を与えること。そのために、日々やるべき様々な知識、経験、情報、関係があるということだと思うのです。
で、あまり世代論にしたくないですが、今の若者世代の当事者意識について考えるときに、世代特有の構造変化も一因にはあると思っています。
例えば、環境が整いすぎていることです。細かなことですが、代理店にいくと、当然に机があって、椅子がある。ボールペンはあって、ホッチキスはあって、プリンターもある。ガムテープもあれば、レタパも有料であるが用意されている。これが環境です。私は代理店を一から作りましたが、これら何もありませんでした。いちいち、コンビニにホッチキスやプリンター用紙を購入しにいきました。今の世代は、「あることが当然」として活動しているため、日常から、自分が動いて環境を作るという「当事者意識」が育まれない。また、様々な情報が手に届く中で育っているために、正解不正解を意識し、なかなか「自分がやってみよう」とならない。これはもちろん失敗が怖いという意識もあるかもしれません。
日常から当事者意識を持つことで、感謝もできる
確かに、私たちの業界で考えると案件があることは大事です。で、案件に頼ることの是非を議論したいわけでもない。案件の有無もそうですが、今の環境、人間関係など、今日一日自分の目の前で展開されることすべてに、「自分だったらこう考えて、こう動く」「相手がこうされると、うれしいだろう」「こういうことは自分だったらされたくない」と、主体的に、自分事として考えてみること。これが当事者意識の回帰につながるのではないかと思う。
つまり、今日、私が何が言いたいかというと、若手の悩みは、保険募集人の至上命題「見込み客の創設」なんだけれども、それは今は自分でできなくて共同募集・リーズ案件に頼っていても、「自分で考えること」から逃げなければ、そして考え続けていけば、いつか将来自分でできるようになるかもしれない。日常から当事者意識を持つことです。
そして大事なことは、今の環境にも、そしてお客様にも「感謝をする」ということです。感謝とは何か、皆さん言語化したことありますか?
感謝とは、「ありがとう」と言葉を発すること、これ自体も大事ですが(そもそも、この感謝の表現すらできていない人もいる)、私が考える感謝の定義があります。それは、「感謝とは、期待に応えること」です。常に周りに感謝し、「自分だったらどうするか」の考えから逃げないことです。
最後、言いたいことが多すぎて、まとまりなかったですね。ごめんなさい。ほぼ自分に言い聞かせているだけみたいな感じになりました(笑)。お前(←岡田を指す)も共同募集で活動しているくせに、何を偉そうに…と思われる方もおられたでしょう(笑)。
私も47歳ですが、日々精進です。
今日もがんばりましょう。