【読者からのご質問】 ケセラセラ派の顧客にどのように対処すべきか<音声配信あり>
今日は、保険募集人の方からのご質問に回答する回です。「ケセラセラ」というと、日本を代表するトップアーティストの楽曲をイメージされる方が多いかもしれませんが、「ケセラセラ」とは、スペイン語をカタカナ表記した言葉で、「なるようになるさ」という意味ですね。未来の出来事に対して、あまり心配せずに、自然に任せようという楽観的な態度を表す言葉として使われます。
もう、今日の内容はイメージできたという方も多いと思いますが、今日は、このお悩みに私なりに真剣にご回答してみたいと思います。
今回の内容は、有料会員・無料会員の方、皆さまがお読みいただけます。また、今日は両者音声で聞くことができます。ぜひ、皆さま、音声でも聞いてみてください。
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『将来はなんとかなるさ』という楽観的な考えを持つお客様
では、本題です。今回は募集人の読者の方をDさんとして、このDさんから頂きましたご質問の内容の全文をご紹介したいと思います
「いつも有益な情報を本当にありがとうございます。今日は私自身が長年にわたって対処に困り続けている事象をご相談します。それは、「ケセラセラ派の顧客にどのように対処すべきか」ということです。
ケセラセラ派というのは、私が勝手に作った表現です。保険営業を行っていると、一定確率で「万一の保障」「疾病への保障」などに全く見向きもしない人にぶつかります。死亡・高度障害・がん・心疾患・脳疾患・就業不能・不慮の事故 等々我々が日常的にリスクとして顧客に訴えていることに、「なったら なったで その時になるようになればいい」という人が現れます。私はこれらのリスクの出現率などを、数字で示すことが多いのですが、これがまったく通用しません。かといって、ケセラセラ派を翻意させるうまい言い回しも、思い浮かびません。
岡田さんのご経験で、何か対処方法はありますか?岡田さんのお考えを伺えると幸いです。」
というものです。Dさんは私よりも年配の募集人の方かなと想像します。そういう人生の先輩から素直なご相談をいただけて本当にありがとうございます。そして、「ケセラセラ派」とは、とてもいい表現ですね!(笑)きっとDさんと同じお悩みを抱えている募集人の方もいらっしゃると思いますから、真剣に向き合いますね。
では、私からのアドバイスです。おそらくですが、Dさんは(すべてではないと思いますが)一部、共同募集、提携先リーズなどで活動されているのではないかと想像します。今回のような、保険にあまり前向きではない、『将来はなんとかなるさ』という楽観的な考えを持つお客様のことを、Dさんの表現をお借りして「ケセラセラ派」として進めますが、「ケセラセラ派」の方に一定の確率で出会うのは、共同募集・リーズ案件ではないかと思います。
私も活動のフィールドは、「共同募集×オンライン×ライフプラン」ですから、共同募集で行っていると、ケセラセラ派の方にお会いすることはあります。この場合、私がどのように、どういうモチベーションで対応しているか、という点からお話し、この問題の根本を整理してみたいと思います。
諦める!=明らかに、見極める!
まず、ケセラセラ派が多い「属性」があると思っていて、「独身男性」の属性ではないかと考えます。今、都心部とかで活動していると、30歳前後の独身の男性で(金融リテラシーではなく、お金の関心が高いだけではあるが)お金について関心があり、1000万円とか2000万円程度貯めているという方にお会いすることがあります。こうした方で、ケセラセラ派という方が多い印象です。例えば、お客様から「保険とかあまり、どうでもいいです。なんとかなると思っていますし、公的保障もあるし」と言われたとしましょう。で、大事なことは、ここで「対立(意見を戦わせる)」ことをしてしまうと、基本うまくいきません。
私がケセラセラ派のお客さまに遭遇したとき、どういうモチベーションかといいますと、基本は諦めます!(笑)。諦めるって…と思われるかもですので、その真意をもう少しお話させてください。
諦めるとは、ただ、『諦める』のではなく、「明らかに、見極める」という意味です。自分なりに、保障の重要性を伝えて、伝えるべきことを伝えたら、それは「見極めた」のだ、と自分の力量を責めるのではなく、マインドを軽くしてあげてほしいということ。
もちろん、ケセラセラ派の方では、すでにそういう発言がある時点で、そういう趣味嗜好ですから、50%~70%くらいの確率で、その思考を変えて保険成約をいただくことは、ほぼ難しいと考えています。かと言って、「では、今日のお話をするのはやめましょう」とあきらめるのも難しいと考えると、「諦める=明らかに、見極める」というスタンスで臨んだほうがいい。
独身男性のような属性からしても保険のニーズが低い方であれば、ある程度顧客のご資産や状況から将来のイベントなどもお伝えし、また何か機会があればという形で、リリース(失注ではなく、リリース)でいいのではないかと考えます。ただ、結婚してお子様もいるご家庭では、もう少し踏み込んでお話ししてもいいと思っています。
はっきり申し上げるというのも一手
今回の、おそらくDさんは真面目な方だと想像しますが、私も経験ありますが、本当に残念なのは、奥様もいてお子様もいて、そのうえで「保険はいい、そのときはなんとかする」というご意見の方に遭遇するときです。私は、「意見を対立させることはよくない」とお伝えしましたが、基本は50%~70%で失注(お別れ)するのであれば、様々なアプローチで保障の重要性をこころみたうえで、はっきり申し上げるというのも一手だと思います。
「なんとかするとおっしゃいましたが、なんとかするのは、何かあったときになんとかするのは、あなた(=ご主人)ではなく、奥様とお子様がなんとかするのです。なんとかなるか、なんともならないかを考えるのは奥様です。保障の大きさとは、ご主人の責任の大きさです。『責任の大きさ』とは、言い換えると、残された奥様お子様、残された方の『時間の長さ』です。今は、ご主人の責任(=残された方の時間の長さ)は大きいので保障額は4000万円ですが、これは10年すると、ご主人の責任が下がる。これは、残された方の人生も短くなるからです。こうした形で、収入保障という形で保障額が下がっていく合理的なかけ方をすると、死亡保障だけでも、月々約2000円強くらいのものです。この月々のコストで、自分の愛すべき他者への安心が購入できることになりますが、それも不要であるとおっしゃるのであれば、今日はこれで終わりにしましょう」
くらい、(いろいろお伝えしたうえでですが)はっきり申し上げてもいいのかもしれません。
私の経験則で、ちょっと偏見があってしまうと申し訳ないですが、今日のようなケセラセラ派の方は、「合理主義者」が多いような気がしていて、ある程度必要保障額の大きさ、疾病時の金額などを数字で示していくのも大事だと思いますが、最後は「感情」でいいと思います。そもそも、以前にも私が解説していますが、商品プレゼン時における、この「感情」と「論理」のバランスですが、理想は、「感情:論理=7:3」くらいと言われていて、やはり「感情・情熱」みたいな部分は重要です。
私が今日、Dさんにお伝えしたいことは、「諦める」のではなく、「明らかに、見極めた」のだというマインドで、「私はやるべきこと、伝えることは伝えたのだ」という信念で活動できれば、正直、悩むに値しない問題でもあるということです。
マーケットチェンジを考えていくことも大事
もう一つ、最後に大事なことをお伝えします。今日のケセラセラ派の方との面談になる、本質的問題です。これはどういうことかというと、共同募集やリーズ案件などにおける、「上流工程での課題」も十分にあるということです。これは決して他責という意味ではなく、こうしたお客様(=ケセラセラ派の方)は、自分なりに正義があって、そういうお話をしている可能性もあるのだということです。
どういうことかというと、共同募集の「上流工程」で、「お金の専門家FPが、お金のことなら、NISAでもなんでもご相談にのります!」と言っていると、それは、お客様(=ケセラセラ派の方)も、お金のことならなんでも相談できるのであれば、もっと増やす方法が聞きたいし、別に保険はいらないというのも一つの意見という整理ができます。つまり、お客さま(=ケセラセラ派の方)も正しいという考えを持つこともできるはずです。
そういう意味では、自分の活動のフィールドを見直す、マーケットチェンジを考えていくことも徐々に徐々に行っていくことも大事です。
今日のような、ケセラセラ派の方では決して、意見を対立させるのではなく、「こころみる」と言う形で、序盤は、寄り添う形で何かお手伝いできることはないか考えてみることです。せっかく、ケセラセラ派の方と命名しているわけですし、バックサウンドに「ケセラセラ」が流れているくらいテンションを上げて話すといかがでしょう(笑)!で、そのうえで、伝えて、伝わらないのであれば、それは、「明らかに、見極めた」です。
今日は以上です。
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